うさぎの適切な食事とは
まずはじめに
うさぎの栄養学は発展途上の分野であり、獣医師によって細かいところは微妙に言ってることが違う時があります
この記事の内容も、成書や栄養学の先生の意見を参考に、今までの自分の経験も踏まえて間違ったことは書かないように努めますが、他の先生の意見と食い違うところもあるかもしれません
勿論、獣医学的に正しい、大まかな方向性は同じであるはずなので、こういう意見もあるんだなと捉えて頂ければ幸いです
前置きが長くなってしまいました
結論から言うと、うさぎの食事の基本は
・チモシーなどイネ科の牧草食べ放題
・ラビットフードをちょろっと(1日当たり体重の1.5%程)
あくまでうさぎの主食はラビットフードではなく牧草です、ましてや人参🥕ではありません

うさぎパイにされないよう気をつけろよ
うさぎは繊維質を腸内で発酵させることで、生きていくのに必要なエネルギー・栄養素を作っています
その為、牧草をモリモリ食べて繊維質をとにかく沢山摂る必要があります
また、繊維質には胃腸の動きを促進したり歯の磨耗を促す働きもあり、この為にも繊維質は必要です
ウサギは小腸の末端:⭕️部分で、繊維質を消化出来るもの・出来ないものに分離します
通常多く見られる硬便は不消化性繊維質の塊です
消化性繊維質は盲腸にて微生物により発酵され、揮発性脂肪酸・アミノ酸・ビタミン等の産生が行われ、吸収されます
吸収されなかった分が盲腸便になります#ウサギ pic.twitter.com/uNREkbpvFF— 脱兎マン@白兎どうぶつ病院 25年春開業 (@dattman2024) May 2, 2024
ウサギは小腸の末端:⭕️部分で、繊維質を消化出来るもの・出来ないものに分離します
— 脱兎マン@白兎どうぶつ病院 25年春開業 (@dattman2024) May 2, 2024
通常多く見られる硬便は不消化性繊維質の塊です
消化性繊維質は盲腸にて微生物により発酵され、揮発性脂肪酸・アミノ酸・ビタミン等の産生が行われ、吸収されます
吸収されなかった分が盲腸便になります#ウサギ pic.twitter.com/uNREkbpvFF
牧草について
うさぎへ与える牧草は、主にイネ科とマメ科に分けられます
イネ科の牧草としては
・チモシー
・オーツヘイ
・イタリアンライグラス
・オーチャードグラス
・ウィートヘイ
・クレイングラス
・バミューダグラス
など
マメ科の牧草としては
・アルファルファ
・クローバー
などがあります
マメ科の牧草は栄養価・カロリーが高いため、成長期にはもってこいですが、大人のうさぎが主食にしていると太りやすくなるため、基本的にはイネ科の牧草の中から選ぶようにしましょう
イネ科の中でも、最もポピュラーで栄養も豊富で手に入りやすいのがチモシーになります
チモシーの中でも色々あり、
⚫︎産地
北海道産・アメリカ産・カナダ産など色々有りますが、うさぎが食べてくれるならどこのでも良いです
⚫︎◯番刈り
牧草が生えてきて一番最初に刈り取ったものを1番刈り、刈った後に再度生えてきたものを刈ったのを2番刈り・3番刈りと呼びます
基本的には繊維質・栄養素が豊富な1番刈りを与えるようにして下さい
2・3番刈りは柔らかく、うさぎにとっては食べやすいのですが、栄養面で1番刈りに劣ります
歯が悪くて硬いものが食べにくいなどの場合には2・3番刈りは有用です
⚫︎プレス
シングルプレスとダブルプレスのものがあります
これは牧草を出荷する際の圧縮の強弱を指しているだけで、栄養面で違いはないのでどちらでも良いです
シングルの方が圧縮が弱く、細かいクズが出にくいというメリットはあります
あとはメーカーにより細かい違いはありますが、重要なのは
・うさぎがよく食べるか
・購入がしやすいか(入手経路と費用の両面で)
この2つを満たしてればどれでも良いです

【令和6年度産新刈り】牧草市場 スーパープレミアム チモシー 1番刈り 牧草 3kg (500g×6パック)(うさぎ・モルモットなどの牧草)
マペット
その他のイネ科牧草である、オーツヘイやオーチャードグラスなどを主食にしても特に問題はありません

OAT HAY PREMIUM 穂が入るのを少し抑えた緑色のプレミアムオーツヘイ 1番刈り チモシーの代替として 競走馬プレミアム加工牧草 500g x 2袋 (ウサギ・モルモット・チンチラ)
EXTOLEVEL

Groceryland
ただ、イタリアンライグラスは嗜好性がとても良い代わりにかなり高値なので、これだけはオヤツ程度に留めておいた方が良いと思います😅
(チモシーが1kg1000〜2000円くらいのところ、イタライは300gで4000円以上💸)

ジェックス
牧草については以上です、とにかく良く食べるものを探して沢山与えるということを覚えといて下さい
ラビットフード(ペレット)について
*与える量
ラビットフードを与える目的は、牧草だけだと不足しがちな栄養素(ミネラルやアミノ酸など)を補うことであり、主食ではありません
ラビットフードを与える量が多いと、肥満や盲腸便の食べ残しに繋がります
フードのパッケージの裏には与える量の目安が記載されています
⇩バニーセレクションプロの裏面

しかしながら、うさぎを診てる獣医師では、パッケージの量より少なめに与えるよう指示されている先生が多いかなと思います
与える量の目安は、1日の合計が体重あたり1.5%程度(1kgの子なら15g/日、2kgの子なら30g/日)をオススメします
日本エキゾチック動物医療センターの三輪先生著のエキゾチック臨床vol.20
Grow-Wing Animal Hospitalの曽我先生監修の飼育本

新版 よくわかるウサギの健康と病気: かかりやすい病気を中心に症状、経過、治療、ホームケアまで。一家に一冊!
大野 瑞絵
誠文堂新光社
2018-03-15
Doラビットフード(後述)の作成者、ウサギのハートの管理人の成田先生
こちらの先生方の書籍、HPにも1日当たりのラビットフード量は1kg当たり1.5%を推奨されています
ただ、あくまでこの数字は目安です
もっと少ない量しか与えてないのに太ってくる子もいますし、もっと多く与えないと痩せて調子が悪くなってしまう子もいます
牧草の摂取量や体質にもよるので、太りすぎず痩せすぎない量を個々で探っていく必要があります
また、子うさぎに関してはもう少し量は多めで良いと思われます、1日当たり体重の3%くらいまででしょうか
子うさぎでも主食はあくまでも牧草なので、ラビットフード食べ放題はオススメ出来ません
*ライフステージに合わせてフードを変えるべきか
子うさぎ用・成長期用・グロースなどのものは、成長に必要な栄養を充分量摂れるように、大人用のものに比べて高栄養・高カロリーの設計になっています
そのため、大人のうさぎが食べ続けてると肥満に繋がっていくので、生後半年を過ぎたくらいから大人用・メンテナンスなどのものに変えていく必要があります
反対に、シニア用というフードも売られていますが、一般的な大人用・メンテナンスと比べて中身がそこまで大きく変わるわけではないので、何歳になったら変えなきゃいけないとかはありません
5−6歳くらいになったらシニア用のでも食べるかどうか試してみるくらいの感覚で良いと思います
*ラビットフードの種類
犬猫ほどではありませんが、ラビットフードも多くの種類が出ており、どれを与えれば良いか迷うと思います


最低限の条件として
・主原料にチモシーなどの牧草が使われているもの
・ソフトタイプのもの(ハードタイプと記載が無ければ大丈夫、ハードタイプは歯根を痛める可能性)
あとはパッケージ裏の成分表の”粗繊維”が18〜20%以上のものが良いかと思います
(粗繊維の測定の仕方はかなり曖昧であまり参考にならないという話もありますが、あくまで目安として)
それでは実際どの商品が良いのか?
ここからは僕の独断と偏見でオススメの商品を紹介していきます
個人的な印象も含めて書きますので参考程度にどうぞ
①バニーセレクションシリーズ(約1000円/kg 、プロシリーズは約1800円/kg)

イースター バニーセレクションプロ メンテナンス チモシーヘイ 2.5kg
イースター株式会社

迷うならこれ与えとけば間違い無いです
取り扱ってる店も多く、Amazonや楽天でも買えるので手に入りやすさも🙆
ネザー専用・ロップ専用・ミックスヘイ・シニア・スーパーシニアと色々ありますが、別にどれ食べても良いので、それっぽいやつ選んでください
グルテンフリーのプロシリーズとそうでない普通のシリーズがありますが、必ずしもプロにこだわらなくても良いかと思っています
②ラビットプラス・ラビットプライムプラス(1200-1500円/kg 程度)

(株)三晃商会

Sanko (まとめ買い)三晃商会 ラビット・プラス ダイエット・ライト 800g ウサギ用フード 【x3】
三晃商会

これもバニーセレクションシリーズと並んで鉄板の商品
プラスシリーズと、上位互換のプライムプラスシリーズがあります
※納豆菌が入ってるかどうかの違い?個人的には値段がそこまで変わる訳ではないので、プライムプラスを使うことが多いが、効果の差はよくわからない
詳しくはこちら
中でもハイファイバーは繊維量がかなり豊富とのことなので使うことが多いです
③コンプリート1.0 (2640円/kg)

うさぎの動物栄養学者である香川大学の川崎先生と、うさぎ獣医師の中では知らない人はいない斉藤動物病院の院長が監修した、世界初のうさぎの総合栄養食を謳ったフード
詳細はホームページを見ていただいた方が早いですが、とにかくこだわりが凄いです
実際、自分の患者さんでも鬱滞を繰り返してた子にこれを勧めてみたら、その後かなり鬱滞の回数が減ったなという感触があります
僕は今は自分のうさぎにもこれを与えています
やや割高なのと、専用サイトでしか買えないのがネックですが、それだけの価値はあります
コンプリート1.0公式サイト
④Doラビットフード

うさぎの総合情報サイト、ウサギのハート管理人の成田先生監修のフード
他のラビットフードは細かい粒の形状をしていますが、こちらのフードはカロリーメイトみたいなバー状の形をしています

(公式サイトより)
牧草だけでは不足しがちな栄養素を補うことに特化したフードで、こちらも細かいこだわりが凄いです
形的にも与える量を調節しやすくカロリーコントロールをしやすいです
注意点として、牧草をあまり食べてない子には向きません
また、買えるのは提携している病院・ショップのみになります
当院でも買えるようにする予定ですので、専用サイトを覗いて気になった方はぜひ試してみてください
⑤動物村 ラビットフード(チモシー・牧草ミックス)(約300円/kg)

どうぶつ村 動物村 ラビットフード チモシー 4.5キログラム (x 1)
イースター

【療法食】 どうぶつ村 ラビットフード 牧草ミックス 2.5kg
イースター
今まで挙げたフードはどれもそこそこの値段がするものでした
もうちょっとコスパの良いものは無いかと聞かれたらこれをオススメします
牧草主原料で粗繊維も18-20%と悪くないです、ボランティア・多頭飼育・学校うさぎなどの場合には最適解かもしれません
同じシリーズで、ソフト・ミックスという商品もありますが、粗繊維が16%まで落ちるので微妙かなと思ってます
他にも色々ありますが、うさぎが体格に見合った大きさのうんちを充分量出してて、適正な体格を保ててるなら何でも良いと思います!!
うんちについてはこちらの記事を参考にどうぞ
食事については以上になります
オヤツ編はまた別の記事で!